酸熱トリートメントをすると髪が艶がでて、ハリコシのある髪になりますけどなぜですか?
トリートメントと名が付くけど、トリートメントとは思えない仕上がりになります。
それは、酸熱トリートメントの仕組み&理論を知ることで分かるはずです。
今回は、酸熱トリートメントを年間3000人担当するSENJYUチームが、酸熱トリートメントの仕組み&理論を詳しく解説します。
目次
酸熱トリートメントは、2016年に新たに生まれたメニューで「酸」と「熱」の力を使って髪を補修するメニューです。
酸熱トリートメントは、通常のトリートメントとは全くの別メニューだと思って下さい。
酸熱トリートメントは最終的に髪のダメージを修復するため、トリートメントで間違いありません。
しかし、皆さんが入浴中に使用しているトリートメントとは、髪を補修する仕組みが全く異なるのです。
ここからは、酸熱トリートメントの仕組み&理論をイラスト付きで解説します。
通常のトリートメントであれば、ダメージがなくても仕上がりは髪質が良くなりますが、酸熱トリートメントは髪にダメージがないと効果を発揮しません。
もし、ダメージのない髪に使用しても、全く効果を発揮できない上に、髪質が悪くなってしまう可能性もあるのです。
ダメージのない髪に酸熱トリートメントをするデメリットはこちら
ダメージ毛は髪内部のシスチン結合が壊れている状態です。
シスチン結合は髪を支える柱の役割を果たしているので、シスチン結合が壊れる度合いが多いほど、ダメージも大きくなります。
シスチン結合が壊れている部分はダメージホールと呼ばれ、空洞になっていると思って下さい。
まず、酸熱トリートメントを髪に付けて、トリートメント成分を浸透させます。
トリートメントの中には様々な成分が配合されていますが、特に重要な成分は以下の2つ。
↑この2つが入っていないと酸熱トリートメントとして成り立たない、と言って良いほど。
酸熱トリートメントは独特な臭いを発するデメリットがありますが、その原因は主要成分である「グリオキシル酸」です。
グリオキシル酸は酸化した果物のような臭いを発するため、臭いに敏感な人は注意が必要です。
トリートメントを髪内部に浸透させたら、いったん流します。
通常のトリートメントだと流して終わりになりますが、酸熱トリートメントは「流した後が本番」と言えます。
髪の流した後は
↑を行い、髪に熱を加えます。
(ストレートアイロンは入れない場合もある)
この髪に熱を加える作業はとても重要で、熱を加えることで髪内部で化学反応が発生しているのです。
この化学反応が起きているかどうかで、酸熱トリートメントの成功&失敗が決まると思って下さい。
アイロンを入れる理由は、髪をストレートにするためではないのですか?
実は違うんです。化学反応を発生させるために髪に熱を加えているのです。
髪内部で発生した化学反応は「脱水縮合(だっすいしゅくごう)」と呼ばれ、髪内部に新たな結合であるイミン結合が作られます。
この新たに作られたイミン結合によってダメージが補修されるのです。
なるほど。酸熱トリートメントの成分が髪の一部になるイメージでしょうか?
そんな感じで覚えに頂いて大丈夫です。
髪内部で新たに作られたイミン結合は、シスチン結合の代わりとなり髪を支えます。
これによって、髪のダメージが修復されるのです。
壊れてしまった柱の代わりに、新しい柱を補充してる感じですね。
その通りです!ただ、髪の補強がゆえに弱点もあります。
イミン結合はシスチン結合ほど頑丈ではありません。
後から付け加えられた擬似的な結合(柱)である以上、耐久力はシスチン結合より劣るのです。
例えるなら「シスチン結合=鉄筋」「イミン結合=木造」と言った感じです。
↑%は例です。
酸熱トリートメントは1回だけ行っただけでは完全に髪が補修された訳ではありません。
髪内部までしっかり補強するには、2〜5回行う必要があるのです。
1回だけでも劇的な効果がありますが、酸熱トリートメントは2〜5回行うこと前提のメニューだと思って下さい。
ではここで、酸熱トリートメントのBefore・Afterをご覧下さい。
やっぱり酸熱トリートメントの仕上がりは綺麗ですよね!
ありがとうございます。ただ、単に「ダメージが直る」だけの説明で終わるのはもったいないと思っています。
ここでは、酸熱トリートメントをすることで得られる効果をさらに詳しく見ていきましょう。
↑パーマ、縮毛矯正の薬剤はアルカリ性です。
髪は元々弱酸性ですが、アルカリ性に傾けると髪が柔らかくなり、酸性に傾けると髪が硬くなる性質があります。
もし、強すぎる酸性に傾けてしまうと、髪質が硬くなってバサバサの髪になってしまうデメリットがあるのですが、
髪を少しだけ酸性に傾けると、髪が引き締まって手触りが良くなるのです。
酸性に傾けるほど髪は引き締まりますが、引き締めが強すぎると逆に髪質が硬くなってしまいます。
そのため、引き締めが強すぎない&弱すぎない絶妙な硬さにする必要があるのです。
↑過収斂(かしゅうれん)は髪の異常状態。
髪にハリ、コシを与える絶妙な引き締め効果は、美容師さんの技術にかかっています。
↑くせ毛が少し伸びたお客様
酸熱トリートメントは、髪質によって多少くせ毛が伸びる場合もあります。
実際、海外での酸熱トリートメントはダメージケアではなく「くせ毛改善メニュー」として扱われる場合もあるほど。
しかし、酸熱トリートメントのくせ毛改善効果は限定的で、発揮できない人もいます。
くせ毛改善に関しては「人を選ぶ」「偶然」と思った方が良いかもしれません。
パーマや縮毛矯正などのメニューは、髪内部のシスチン結合に作用して効果を発揮します。
しかし、激しいダメージを受けてシスチン結合は壊れてしまうと、パーマや縮毛矯正のかからない髪になってしまいます。
酸熱トリートメントをするとシスチン結合に変わるイミン結合を作りだす効果があるので、パーマや縮毛矯正がかかる髪に戻すことができるのです。
あくまで、酸熱トリートメントをすれば、パーマや縮毛矯正がかかりやすくなるだけの話です。
ダメージレベル&髪質によって、かならない場合もあります。
もし、酸熱トリートメントの中に「グリオキシル酸」が入っていないと、酸熱トリートメントとして成り立たないと思っています。
なぜなら、グリオキシル酸は髪内部でイミン結合を作り出す際になくてはならないからです。
例えるなら、ラーメンで言うところの小麦粉と言って良いほどグリオキシル酸は重要な成分なのです。
酸熱トリートメントの中にはグリオキシル酸以外の成分(酸)が配合されている製品もあります。
グリオキシル酸が入っていない酸熱トリートメントは、本記事で解説した仕組み&理論が発生していないと思われます。
そうなると、グリオキシル酸無配合の酸熱トリートメントは、本当に酸熱トリートメントと言って良いのか?少々疑問に感じるときもあるのです。
小麦粉を使っているラーメンがあったら、それは間違いなく「ラーメン」と言えます。
しかし、小麦粉ではなく春雨麺を使っていた場合、それは「ラーメン」と表記して良いのか?と言う疑問があります。
↑と、意見が別れるはず。
ちなみに、SENJYUチームが扱う酸熱トリートメントは「サミートリートメント」です。
もちろん、グリオキシル酸が配合されています。
SENJYUチームは年間3000人の酸熱トリートメントを担当する、酸熱トリートメントのプロフェッショナルです。
プロフェッショナルだからこそ大切にしているのは「結果」です。
正直、仕組み&理論が現場で役に立つことはほとんどありません。
なぜなら、仕組みや理論は目に見えず、お客様も感じることができないからです。
美容師はお客様の納得の要望を叶えるためには、目に見える「結果」を出すことに意味があるのです。
仕組み&理論はある程度頭の中に留めておく程度にして「結果をだす」ことが一番大切にしています。
酸熱トリートメントの仕組みや理論を知ると、かなり特殊なメニューであることが分かりました。
劇的な効果を発揮する反面、失敗リスクもあるので、酸熱トリートメントは美容師酸選びも大切です。
その他、酸熱トリートメントに関して分からないことがあれば、SENJYUチームになんでもご相談下さい。
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