酸熱トリートメントの理論や仕組みを知りたいです!
なるほど!では、年間3000人以上酸熱トリートメントを担当する「森越道大」が、酸熱トリートメントの理論や仕組みを徹底解説します!
今までの酸熱トリートメント記事は、ヘアケアに関するアドバイスをする内容でしたが、
今回は、雑学的な要素を入れた、「酸熱トリートメントの理論と仕組み」について解説します。
酸熱トリートメントの理論と仕組みが分かるだけでなく、酸熱トリートメントのすばらしさが皆様に伝わる内容にまとめました。
専門用語がでてきますが、イラストや、分かりやすい解説付きなので、とても読みやすい内容になっています。ぜひ最後までご覧ください!
目次
酸熱トリートメントは、2018年に新しく生まれた新技術で、4Gトリートメントとも呼ばれています。
その効果は、どんな髪が傷んでいても、バージン毛に戻ったかと勘違いしてしまうほどのダメージケア能力! 通常のトリートメントのように、一時的に髪質を良く見せるのではなく、髪質自体を変えてしまうので効果は半永久。
トリートメントと名がつきますが、従来のトリートメントとは全く異なる技術で、理論と仕組みが分かればその違いが理解できます!
↑酸熱トリートメントのデメリットを詳しく解説
↑酸熱トリートメントの効果やメリット・デメリット、工程など解説。
酸熱トリートメントは、髪質改善1つです。
髪質改善とは、髪の見た目を良くする施術全般の総称。
バラエティー番組「マツコ会議」の中で「髪質改善」が取り上げられたことによって、その名が広まりました。
髪質改善の種類や効果などに明確な定義はなく、美容師さんによって意見は様々。
その中でも酸熱トリートメントは、髪質改善の代表的な存在です。
ここからが本題!酸熱トリートメントの理論や仕組みを、詳しく解説していきます。
酸熱トリートメントがどのようにして髪質改善するのか?
髪内部で何が起きているのか?
難しい専門用語は、イラストを使い1つずつ丁寧に説明していきます。
シスチン結合は、髪を支える重要な結合で、髪内部で架橋を作っています。 健康毛かどうかはシスチン結合の状態で決まるほど。
例えるなら、シスチン結合は髪の毛の大黒柱。
シスチン結合がキレイかつ、しっかり整っている時は、健康毛。
シスチン結合が破壊され、キレイに整っていない時は、ダメージ毛。
など
シスチン結合は一度破壊されると、二度と元に戻りません。 その理由は、髪の毛は死んだ細胞なので、再生能力がないからです。
皮膚や骨などの、生きている細胞であれば、ケガをして傷ついても一定期間で再生します。 一方、死んだ細胞である髪の毛は、死んだ動物が二度と生き返らないのと同じで、一度傷つくと二度と元には戻りません。
髪が死んだ細胞である証拠に、切っても、引っ張っても痛くありませんよね。
髪内部のシスチン結合がダメージをうけると、結合が壊れ、ダメージホールが発生。
本来、ダメージホールは修復不可能でしたが、酸熱トリートメントの誕生によって修復が可能になりました。
シスチン結合が破壊された際ににできる空洞を、ダメージホールといいます。
ダメージホールがたくさんできると、髪はバサバサ、ゴワゴワのダメージ毛となる。
など
この、ダメージホールが多ければ多いほど、酸熱トリートメントは効果を発揮。 なぜなら、酸熱トリートメントはダメージホールを修復する技術だからです。
逆にダメージホールが、ほとんどない健康毛の方に酸熱トリートメントをしても、ほとんど効果はでません。 酸熱トリートメントの効果がでるか、でないかは、ダメージホールが関係していたのです。
シスチン結合が破壊され、ダメージホールが発生してしまった髪を元に戻すことはできません。ですが、酸熱トリートメントを行えば、修復することは可能。
酸熱トリートメントには主要成分である、グリオキシル酸がアミノ基と共に含まれています。
グリオキシル酸は、酸熱トリートメントを髪に塗布することで、髪内部のダメージホールにアミノ基と共に入りこみます。
グリオキシル酸は、髪の新たな結合であるイミン結合を作り出す際に、なくてはならない成分。
このグリオキシル酸が、
酸熱トリートメントの「酸」の意味となる。
グリオキシル酸は、酸熱トリートメントに含まれる主要成分。
名前の通り、この「酸」無くして酸熱トリートメントは成り立ちません。
グリオキシル酸の役目は、髪の新たな結合を作り出すお手伝い。
ちなみに、このグリオキシル酸は強い刺激臭があり、酸熱トリートメント特有の独特な臭いは、このグリオキシル酸が原因です。
酸熱トリートメントの「酸」は、グリオキシル酸以外にも、いくつか種類があります。
など
酸熱トリートメントの「酸」は、様々な種類があり、種類によって、仕上がりに個性がでます。
アミノ基は、グリオキシル酸と共に酸熱トリートメントに含まれる成分。 のちの、シスチン結合にかわる新たな架橋、イミン結合の元となります。
酸熱トリートメントを髪に付けることで、グリオキシル酸と共にダメージホールの中に入り込みます。
そのままでは、イミン結合にはならないので、 「グリオキシル酸」と、ドライヤーとアイロンによる「熱」によって化学反応を起こした後に、イミン基へ変化をとげる。
アミンという成分から、水素が抜けた成分をアミノ基という。本記事では、酸熱トリートメントの成分を、アミノ基します。
アミノ基には、新たな結合の元となるタンパク質とアミノ酸が含まれています。アミノ基は、髪の毛の一部(架橋)となる成分。
ドライヤーとアイロンを使って髪に熱を与えると、
髪内部では、脱水縮合(だっすいしゅくごう)という化学反応が発生。
このドライヤーと、アイロンによる熱変性(化学反応)が、酸熱トリートメントの「熱」の意味となる。
酸熱トリートメントにおける、
脱水縮合には2つの意味があります。
化学反応によって、髪内部の水分を飛ばします。
アミノ基とグレオキシル酸が、熱反応によってイミノ基へと生まれ変わる。
ダメージホールに入っていたグリオキシル酸とアミノ基に熱を与えると、化学反応を起こして髪に内部の水分が飛びます。
脱水縮合をした髪は、水分が飛んだことで、髪のクセやうねりがわずかに改善。 酸熱トリートメントは、「アイロンを使う工程があるのでクセが伸びる」と誤解されがちですが、
アイロンの効果ではなく、 脱水縮合の効果によってクセが伸びるのです。
髪内部の水分を過度に失うと、髪は乾燥し、パサツキの原因となることはよく知られています。 逆に、髪内部の水分が多すぎると、クセやうねりの原因となる事実はご存知ですか?
実は、クセ毛やうねりは、髪内部の水分量が多すぎたことで発生するのです。 水分量が多いからといって、髪質が良くなるわけではありません。
髪内部の水分量が、多すぎず、少なすぎず、一定に保たれている状態こそ、クセやうねりのないキレイな髪質といえます。
脱水縮合は、髪内部の余分な水分を飛ばすことによって、クセやうねりを改善するのではないかと考えられます。
脱水縮合によるクセうねり改善は、偶然生まれた酸熱トリートメントの「副産物」でないかと個人的に思っています。
ダメージホール内のグリオキシル酸とアミノ基に、ドライヤーとアイロンで熱を与えると、二つの成分が熱変性(化学反応)を起こす。
そして、アミノ基がグリオキシル酸と
熱に反応して、イミン基へと変化します。
脱水縮合は、2つの成分に化学反応を起こして、新成分を誕生させる役割も果たしています。
脱水縮合によって、アミノ基はイミン基へと変わります。
元々は、酸熱トリートメントの主成分のアミノ基であり、脱水縮合によって化学反応を起こして誕生した成分。 イミン基がシスチン結合の代わりになったとき、名称がイミン結合へと変わります。
ダメージホール内のイミン基は、イミン結合となり、シスチン結合の代わりとなる。
イミン基が、シスチン結合に代わる新たな結合になった時、イミン結合と名前を変えます。
イミン結合は、イミン基がシスチン結合の代わりになった時に呼ばれる名称。
そのため、本記事ではイミン結合とイミン基は同じ物考えてください。
このイミン結合を作りだす方法は、酸熱トリートメントだけで、 酸熱トリートメントによって、新たに生まれた結合なのです。
こうして、新たに生まれた結合ですが、存在したシスチン結合ほどの強度は期待できません。 「バージン毛」と「酸熱トリートメントをした髪」では、酸熱トリートメントをした髪の方が、外部からの刺激に弱いのです。
例えるなら、元々存在したシスチン結合が「鉄筋」だとすると、イミン結合は「木造」
イミン結合が新たにできたことで、クセやうねりを改善するといわれています。
これは、髪内部に新たな結合が誕生したことで、髪内部が引き締まり、クセやうねりが目立たなくなったのではないかと考えられる。
脱水縮合とはまた別のクセやうねり改善効果です。
シスチン結合に代わる、イミン結合ができたことで、チリチリ、バサバサだったダメージ毛は、本来のハリとツヤを取り戻します。
その効果は、まるでダメージ前の髪に再生したと思うほど(再生はしていません)
酸熱トリートメントは、髪内部のダメージ部分を補修します。 実は、この「髪の補修」をすることが今までできなかった技術なのです。
通常のトリートメントやコンディショナーの効果も、「髪の補修」といわれていました。 しかし実際は、ダメージを隠したり、目立たなくしているだけで、「髪の補修」ができていなかったのが事実…
そのため、本当の意味で髪の補修ができる酸熱トリートメントこそ、「本当の髪質改善」といっても良いかもしれません!
髪質改善効果においては、酸熱トリートメントと肩を並べる技術は存在しないと思っています。
酸熱トリートメントは、一回行うだけでも劇的な効果がありますが、しっかりダメージ修復させる場合は、2~5回行う必要があります。
完璧な髪質改善をするには、現在の技術では何回か行わないといけません。
↓酸熱トリートメントの回数や周期について解説
今まで酸熱トリートメントに関連する記事を多数投稿してきましたが、「酸トリの疑問」中には説明がとても難しいものがあります。
それは、理論や仕組みをはっきり理解していないと、簡単な説明だけではとても理解不可能だから。 今回は、せっかく理論と仕組みを解説したので、今まで説明が難しかった、酸熱トリートメントの疑問を詳しく解説。
酸熱トリートメントの疑問は、理論と仕組みを理解したからこそ良く分かる!
酸熱トリートメントは、トリートメントと名がつきますが、通常のトリートメントとは似ても似つかない技術!
なぜかというと、酸熱トリートメントは、髪内部の補修をしますが、通常のトリートメントは、髪外側のコート(保護)がメイン。
酸熱トリートメント以外のトリートメントは、全て通常のトリートメントとします。
通常のトリートメントの効果は、髪に付けることで、髪の外側に成分が吸着して髪質を良く見せます。
このとき、髪内部にはわずかですが浸透して、わずかですがダメージホールにも、トリートメント成分が入り込みます。
しかし、酸熱トリートメントほど、内部への浸透性は期待はできません。
また、ダメージホールに入った通常のトリートメントは「液体」のままなので、時間と共に洗い流されてしまいます。
髪内部を化学反応を起こして髪質を良くする酸熱トリートメントと、
髪の外側に成分が吸着するだけの通常のトリートメントとでは、理論や仕組みがまるで異なる技術なのです。
酸熱トリートメントが半永久効果である理由は、髪内部で「個体」に変化するから。
酸熱トリートメントはダメージホールに浸透した段階は、「液体」ですがドライヤーとアイロンで化学反応を起こすと「個体」へ変化します。
個体に変化した酸熱トリートメントは、ダメージホール内でガッシリと固定されるので、水やシャンプーなどで、洗い流されることはありません。
酸熱トリートメントの中には、たんぱく質が多く含まれています。 ダメージホール内に入った酸熱トリートメントのタンパク質成分は、ドライヤーとアイロンによって熱変性を起こします。 そして、たんぱく質の熱変性によって酸熱トリートメントは固まり、その後どんなに冷やしても二度と元には戻りません。
これは卵でも同じで、一度茹でた卵はどんな冷やしても元には戻りませんよね。
酸熱トリートメントの効果が「永久」ではなく「半永久」とお伝えしている理由は、ダメージをうけると元に戻ってしまうからです。
どんな技術も「永久」はありえない、という意味もありますが、
酸トリ後、ホームケアをしっかり行わないと髪は元に戻ってしまう、という意味を込めて「半永久」とお伝えしています。
ちなみに、パーマの正式名称である「パーマネントウェーブ」を直訳すると、「永久巻き」 パーマは、はっきり「永久」といっています。もちろん、永久効果ではありませんが…
酸熱トリートメントの効果がでない人の特徴は、髪が傷んでいない!
酸熱トリートメントは、シスチン結合が破壊されたことで発生した、ダメージホールの中に成分が入り込むことで効果を発揮します。
ダメージホールが多ければ多いほど、酸熱トリートメントがダメージホールに浸透するため効果発揮しやすい。 一方、ダメージホールが少ない人に酸熱トリートメントを髪に付けても、成分が浸透する場所がないので、洗い流されて終わってしまう…
そのため、ダメージホールが少ない方は、酸熱トリートメントをしてもほとんど意味がないのです。
ここからは、酸熱トリートメントと間違われやすい髪質改善技術との違いを解説します。
本記事を読んで酸熱トリートメントの理論と仕組みをしっかり理解すると、それぞれ全く違う技術だと分かります。
(逆に、よく読まないと理解できないかも…)
髪内部には、髪にとって害となる「活性酸素」が存在します。
水素トリートメントは「水素」の力で髪内部にある活性酸素を除去して髪内部を掃除をしてくれます。
私、森越道大は、2020年頃までサイエンスアクアと酸熱トリートメントは似ている技術だと思っていましたが…
実は全然違う技術だったんです!
アルカリ電解水でキューティクルを開ける
開いたキューティクルにトリートメントを入れる
弱酸性トリートメントでキューティクルを閉じる
トリートメントを髪内部に入れる
ドライヤーとアイロンで熱する
熱することでトリートメントを固める
では、酸熱トリートメントの理論と仕組みについてまとめてみたいと思います。
ダメージ毛は、髪内部のシスチン結合が破壊されてダメージホールが発生。
酸熱トリートメントは、シスチン結合の再生は出来ないが、代わりの成分を作り出すことが可能。
まず、酸熱トリートメントを髪に塗布すると、
酸熱トリートメントの中には、イミン結合を作り出すアミノ基。
アミノ基と反応してイミン基が作られる、グリオキシル酸が入っている。
アミノ基とグリオキシル酸は、髪内部のダメージホールに入り込む。
ダメージホールに入り込んだアミノ基とグリオキシル酸が、ドライヤーとアイロンによる熱反応によって、化学反応を起こす。
その時発生する化学反応は、脱水縮合と言って、髪内部の水分を飛ばして、クセやうねりをわずかに改善。
水分を飛ばすと同時に、脱水縮合のもう一つの効果、アミノ基をイミン基という別の成分に変える。
イミン基は、イミン結合となりシスチン結合の代わりとなる、
それによって、新たな髪の架橋を作りだす。
髪の架橋が新たに出来たことでダメージが修復し、髪質改善完了!
聞いたことない言葉が多かったけど、イラスト付きで丁寧に解説してくれたので全部理解できました!
それは良かった!ありがとうございます!
ここまで読んでくれた方はお分かりだと思いますが、酸熱トリートメントの理論と仕組みはとても複雑。
酸熱トリートメントの理論や仕組みを根本的に理解している美容師は少ないのです。
酸熱トリートメントの「根本的な理論と仕組みを理解していない美容師は三流」と言う訳ではありません。
今回の酸熱トリートメントの理論と仕組みの説明は、誰でも分かるようにかなりかみ砕いた説明の記事になっています。
「ちょっと違うのでは?」と思う部分は、誰でも分かるような表現にしたということで、その辺りはご了承ください。
その他、酸熱トリートメントについて何か分からないことがあれば、何でもご相談ください!
カウンセリングのみ実施中
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酸熱トリートメントの間違った情報とは?
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